名古屋の南極
南極観測船ふじ


南極観測船ふじは、1983年に退役した後、名古屋港ガーデンふ頭に永久係留され、南極観測に関する博物館として一般公開されています。

艦名と識別番号。意外に思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、南極観測船の航行については、海上自衛隊の管轄になっています。

前からも見てみましょう。
今にも出航しそうな状態で保存されています。静態ではあるものの、素晴らしい事だと思います。
この舳先で流氷を打ち砕いて進んでいたんですね。そういう事を想像すると、なんだか興奮してくるのは、男の性というものでしょうか。

さて、それでは、中へ入ってみましょう。

入ってすぐ目の前には、ふじの断面模型があります。なるほど、こういう構造になっているんですね。

この後は、順路を示す看板通りに進んでいきます。まず最初は食堂。

当時の様子を再現する為に、人形が設置されています。
怖いぐらいリアルです。

食堂の横には、無線室があります。様々な機器があります。
一部、新たに設置された階段を使ってショートカットする事もありますが、それ以外は殆ど現役当時の通路を通ります。

そして、士官室エリアに到着しました。何やら書き物をされているようですから、静かに見学しましょう。

医務室です。お医者さんが隊員を診察しています。

さて、通路の向こうに何やら見なれたものが見えてきましたね。

そう、理髪室です。揺れる船内で髪を切ったり髭を剃るというのはとても大変だったと思いますが、実際どうだったんでしょう?

薄暗い通路に浮かぶ、赤青白の走馬灯。

この辺りだけ見ると、現役の船に迷い込んでしまったのではという錯覚に捕らわれます。

そして、下士官室。一気に戦時中チックになりました。
砕氷船という船の特徴から、航行中はかなり揺れるそうで、ハンモックみたいに船の揺れに併せて動くようになっています。
それにしても、固そう……。

下士官室の下は機械室になっており、機械室が見えるように一部の床が切り抜かれています。
船に詳しくない私にとっては、何が何やら。

一方こちらは、観測隊員室です。観測船の中ではお客様待遇なので、部屋もそれ相応のものになっています。
この観測隊員さんは、コーヒーを飲みながら、故郷に残してきた家族の事を想っているのでしょうか。

さて、ヘリポートまで出ました。当時、ふじに搭載されていたヘリも一緒に静態保存されています。

「第5001号 砕氷船ふじ 建造番号S819 建造年月1965年7月 日本鋼管株式会社鶴見造船所」

南極観測船ふじの近辺は、このように公園として整備されています。


中型雪上車SM50Sは、1979年に製造されてから1998年までの20年間、極地での輸送に活躍しました。
この車両は、そのうちの一台で、屋外に自由に触れる状態で静態保存されています。
その割には、比較的状態も良いのは、整備が行き届いているからでしょうか。それとも、ただ単純に無視されているからでしょうか。

色々なものの影に隠れて目立たないスポットではありますが、中身はなかなか濃かったです。名古屋にお越しの際には、ぜひ一度!